宗教法人に強く依存する、自立できない「宗教系大学」

「宗教法人設立大学」は苦しい立場にある
初台さん@大学財務ウォッチャー 2026.09.23
誰でも

皆さんは「宗教系の大学」と聞いてどこを思い浮かべるでしょうか。多くの人が、いわゆるミッション系と呼ばれる上智大学や青山学院大学、同志社大学の名前を挙げるでしょう。

もちろん、宗教系にはこうしたキリスト教系のもの以外に、日本の伝統的な宗教法人によって設立された大学もあります。
今回は、経営環境の悪化が囁かれる近年において、これら日本の伝統的な宗教系大学の財務状況がどのようになっているのかを探っていきます。

日本の宗教系大学といえば、駒澤大学や龍谷大学などが挙げられますが、こうした規模の大きな大学とは違い、定員割れに苦しむ大学も多くあります。
例えば天理大学を例に見てみましょう。同大学は2023年に天理医療大学と合併しました。設置母体は日本国内に多くの信者を抱える天理教ですが、入学状況は振るわない状態です。

2020年には97%あった入学定員充足率も、その後はずっと7~8割台で推移。直近の入学定員・収容定員充足率で唯一定員を満たしているのは、体育学部のみです。
※見かけ上の入学者数は維持・微増していますが、これは2023年度に合併により入学定員が100人増えているため

「天理大学 2026年度 機関要件の更新確認申請書」より

「天理大学 2026年度 機関要件の更新確認申請書」より

このような状態では当然ながら収支が悪化してしまいます。直近5年間の教育活動収支差額(本業の収支に相当)は全て赤字であり、2025年度は▲19億円、赤字率にして約25%と悪化傾向が続いています。

天理大学「財務情報」より筆者作成

天理大学「財務情報」より筆者作成

宗教法人設立大学に多くみられるのですが、一般的に寄付金の比率が通常の大学より高いです。例えば学校法人創価大学は、毎年30億円程度の寄付金収入があります。30億円というとピンときませんが、同学校法人の学生生徒等納付金が直近で70億円程であることを考えると、かなり大きな額です。

学校法人天理大学は、事業報告書によると2025年度に宗教法人天理教より12億円の寄付を受領しています。つまり、これら巨額の寄付金を除外した大学そのものの実態的な収支は、表面上の数字よりさらに深刻なのです。

継続する収支赤字により運用資産は大幅に削られ、ここ5年で約4割減の49億円にまで減少しています。

天理大学「財務情報」より筆者作成

天理大学「財務情報」より筆者作成

さらに、ここは大元の宗教法人から21億円近くの借入をしています。しかも「無利息・無担保」。言うまでもなく、市中銀行からこのような条件で借入することは不可能です。運用資産が49億円しかない同法人にとって、この21億円の借入はまさに生命線と言えます。

天理大学「財務情報」より

天理大学「財務情報」より

こういった取引は、他の法人でも見られます。例えば高野山大学は高野山真言宗から不動産の無償提供や借入を、身延山大学を運営する身延山学園も、久遠寺から借入を行っています。

設置母体・関係団体からの支援は当たり前といえば当たり前の取引といえますが、大元の宗教法人だって、ずっと赤字の学校法人に寄付金を投入したり、貸付を行ったりし続ける余裕があるわけではありません。

実際、同じ宗教系大学であるルーテル学院大学は、近年の少子化傾向等の影響を理由に2025年度以降の学生募集停止を行っています。直近の大学部門の収支は、学生募集停止の決定後とはいえ▲115%の赤字率となっており、経営的にかなり困窮していたことがわかります。

もちろん、経営的合理性だけで大学の存続可否を決めることはないでしょう。大学の存在が大元の宗教の布教や存続につながっている面もあります。

今回は天理大学を取り上げましたが、もちろん宗教法人に依存せず、自立しうまく経営している大学もあります。
とはいえ、少子化で18歳人口の急減が見込まれる中、宗教法人への資金依存度が高い大学は、ますます経営が厳しくなりそうです。

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